こんにちは!
相羽建設の伊藤です。
新型コロナウイルスの感染拡大に変化が出てきた5月。全国的な緊急事態宣言が解除されてきて、外出自粛も少しずつ緩和されてきています。
とはいえ、相羽建設でもお客様との家づくりや住宅のイベントなど、これまで対面でしてきたこと、すなわちオフラインでの取り組みができない状況が続いています。
「STAY HOME」で大人から子どもまで、これほど長くみんなが家に滞在しているという状況はこれまでになかったもので、家での時間の過ごし方や生活が大きく変化していますし、僕たち工務店がご家族の家づくりをサポートする方法も、これから大きく変わっていくであろうことと強く実感しています。
現場監督のアイディアからはじまった「リモートワークのための道具」づくり
相羽建設でも、「withコロナの今だからこそ、工務店ができることは何だろう」とスタッフみんなで考えていました。その中で、現場監督の荻野さんが「テレワーク×大工さんの仕事を創出」というアイディアで木製のiPhoneスタンドを考案しました。家で仕事をしたり、離れた友人や家族とのコミュニケーションとしてオンライン会議が急速に広まる中で、スマートフォンを立てた状態で使える「スタンド」が必要になるはず、と。
荻野さんは早速図面を書いて大工さんに依頼。最初の試作が4月中旬にできあがりました。更にブラッシュアップをしたい……と、すぐに荻野さんの企画書と試作が、国立市に拠点を置いている家具デザイナーの小泉誠さんに届けられることに。小泉さんも相談が持ちかけられてすぐにスタイロフォームをつかって原寸大模型をつくり、図面化に取り掛かります。5月の連休前までに2度の試作を行い、連休明けに第3の試作が完成……という、プロダクトの開発という面では類を見ないようなスピード感でプロジェクトが進められていきました。(この途中の経緯については、どこかのタイミングでもう少し詳しくお伝えできたらと思っています)
写真は大工さんの製作中の様子。
素材は家づくりでも用いるスギなどの針葉樹や、ウリンやセランガンバツなどの広葉樹でも行われ、手ざわりや質感、重さなども確認。
5月中旬に製品としての形が完成。できあがったスタンドは相羽建設だけでなく、手仕事とものづくりのプラットフォーム「わざわ座」の座衆・寄人メンバーを通して全国で伝えていこう……と準備を進めています。そして「道具としての伝え方も大事だよね」と、製品として加工から仕上げまでをつくり手側で完結させるのではなく、表面や角の仕上げ、オイル塗装などはしない「半製品」として届けることになりました。
使い手のもとにスタンドが届いてから、そのまま使ってもいいし、使う人が自分で角や表面をサンドペーパーで磨いて、オイルを塗って仕上げて使うのがいい。家や庭で木の道具の最後の仕上げをしてもらうことで、その道具にも愛着が生まれたり、大工さんがつくり、使う人が仕上げるという協働が生まれて、手から手へとつながるプロダクトにもなるはずです。
写真は家具デザイナーの小泉誠さんと現場監督の荻野照明さん。
今回の開発にあたって、企画書や試作を介してコミュニケーションしたり、Zoomなどのオンラインの仕組みをつかって作り方と伝え方を一緒に考えてきました。
●「大工の手」スマートフォンスタンド
・デザイン:小泉誠+荻野照明
・製 作:大工+座衆+寄人
・素 材:誠実な素材
・サイズ:W70×D70×H95
withコロナで生まれたスマートフォンスタンド
一番手前の完成版のスマートフォンスタンドで、奥が試作してきたスタンドです。形も変わってきましたが、樹種も手前からセランガンバツ、スギ、ウリンで色や質感もちがって面白い。
スマートフォンを縦に置いた時には充電ケーブルを接続できるようになっています。
こちらは横に置いた状態。
大工さんが手しごとでつくる木の道具で、テーブルの上にあたたかみが生まれます。
STAY HOMEで自宅でもスマートフォンを使って映像や音楽を楽しんだり、テレワークでWeb会議をしたりする際、このスタンドが活用していただけるのではと感じます。
コロナの時期に、大工さんや工務店、デザイナー、つくり手みんなでできることは何だろう……という試行錯誤から生まれたスタンド。
家づくりだけでなく、生活のための道具もつくる。そのものづくりから人と人がつながったり、コトが生まれていく。
『withコロナやアフターコロナの時期でも、もっとやれることがある』
とても小さな道具だけれど、僕たちに工務店にとって、とても大きなきっかけとなる製品開発です。
記:新築住宅事業部 伊藤夕歩