こんにちは!相羽建設の伊藤です。
2月からの新型コロナウイルスの感染拡大が世界的な広がりを続けてなかなか終息しない中で、日本国内のみならずアジアからヨーロッパまで広がっていることにあらためて影響の大きさを感じます。同時に、世界的なウイルス感染がこれから先に世界的な経済悪化にもつながる様相を呈してきています。そんな情勢の中で、地域で家づくりをする工務店としてできることは何か、、、と相羽建設でも社内で日常的に話し合ったり、通年で多く開催をしているイベント運営についても日々検討しているところです。情報収集をしつつ、まずは日常を丁寧に、前向きに過ごしていこう!とみんなで実践をしている3月です。
家で過ごす時間を豊かに変えてくれる「庭」
大人から子どもまで、なかなか人混みに出かけづらい今の時期、「家」にできることはなんだろう?
家で過ごす時間を豊かなものに変えるためにどんなことがあるだろう?
……そんなことを思う時、暮らしの中での時間の過ごし方の工夫であったり、居心地の良さを生み出す庭づくりも当てはまるのではないか、と思います。
僕たち相羽建設でも、家とともに「庭」の大切さをここ数年でより強く感じるようになりました。
そのきっかけや気づきをいつも与えてくれる、造園家の小林賢二さんの庭づくりについて、今回は書きたいと思います。
造園家の小林賢二さんとの出会い
小林賢二さんは東京都国立市を拠点に、住宅の造園デザインから公園や集合住宅のランドスケープデザインなどを手がける造園家です。もともとはインテリアデザインを学びお仕事にもされながら、家具やインテリアからランドスケープ、個人宅の庭へと変化してきています。ご出身は長野県上田市。僕も長野県御代田町の出身で前職は上田市で仕事をしていたので、なんだか勝手につながりを感じています。東村山市の「つむじ」の造園や、相羽建設の立てる個人宅でも、小林さんが手がけてくださった豊かな庭が多摩・武蔵野エリアで点在するようになりました。
初めて参加した造園ワークショップで
相羽建設と小林賢二さんと初めてのご縁は2014年のころ。
国立市を拠点に全国の産地とものづくりをする家具デザイナーの小泉誠さんと小林さんが協働された「土気の家」で、武蔵美の小泉ゼミの学生の皆さんとの庭づくりワークショップに相羽建設設計部の中村健一郎さんと僕の二人が参加させていただいたことからでした。
60坪の広い土地に対して12坪の建築面積で建てられた小さな家と、大きな庭。広々とした屋外スペースには樹々だけでなく、大きな丘がつくられていました。小泉誠さんと小林賢二さんが学生たちと住まい手のご家族ととても生き生きと植栽を植えたり丘の芝をおき、簾と木と金物をシンプルに使った塀を敷地奥につくっていく二日間。庭全体のデザインを考え、工事が進んでいく中で常にバランスや工程を考え確認しながら小林さんと小泉さんが指示を出し確認をし、Koizumi Studioのスタッフの皆さんがチームにわかれて庭づくりに取り組む学生たちの様子を見ながらサポートをしていく。チームごとのリーダーは学生の中から選抜されたメンバーが担っていました。
二日間のワークショップはあっという間にでした。庭の姿ができあがっていく様子を現場で体感しながら「庭づくりってすごい奥が深くてたいへんなことなんだ」と感じました。
一瞬も気を抜かず、でも力み過ぎることもなく敷地の様子を見ている小林賢二さんの佇まいが印象的だったこと、学生たちやスタッフの動きを見回しながら現場で誰よりも走り回っていた小泉さん(少しでも手持ち無沙汰な人を見つけたら現場での仕事をやりくりして前へ進める!)の姿に驚いたことを今でも鮮明に覚えています。初めて参加した庭づくりワークショップでは、ものづくりや場作りをみんなで進めていく際の連携の仕方や、それぞれの役割分担や振る舞い方など、たくさんの学びがありました。厳しくも楽しい、そんな印象的で濃密な時間でした。
●参考リンク
Koizumi Studio「土気の家」
新建築「土気の家」
つむじの庭づくり
「土気の家」のワークショップに参加した後、ほどなくして相羽建設で東村山市に新しい拠点「つむじ」をつくることなり、建物の設計は建築家の伊礼智さんと家具デザイナーの小泉誠さんにお願いすることになり、敷地全体の造園デザインを小林賢二さんにお願いすることになりました。
つむじの約170坪の敷地には、120を超える植物が植えられ、四季折々の樹々や草花の表情を見ることができます。
小さな葉っぱや花びらの一枚いちまいに表情があり、熱中して見ているとまるで小宇宙のよう。
つむじの庭でも、小林賢二さんと小泉誠さん、相羽建設のスタッフとで丘づくりワークショップを開催しました。
庭づくりの多くの工程はもちろん小林さんと造園の職人の皆さんがつくってくださったのですが、そこでの日々を過ごす自分たち自身が手と体を動かしながら庭づくりに取り組むことで、愛着が生まれ、植栽や樹々の変化がますます楽しみになります。
小林さんはつむじの完成後も、庭の植栽のメンテナンスを定期的に行ってくださったり、つむじで育つ植栽の様子を植物の魅力とともにブログに綴ってくださっています。
さらに、つむじを会場として、小林さんがライフワークとして取り組む「うつわ」の仕事を紹介する展覧会も開催してくださることも。
住み手とともに庭づくりを楽しみ、風景をつくる
小林賢二さんが相羽建設とともに手がけてくださった庭づくりの中では、建築家の伊礼智さんとの協働もあります。中には、住まい手さんや地域の人が一緒に庭づくりに参加した事例も。
伊礼さん設計での住まいが現場で完成が近づいてくるタイミングにあわせて、伊礼さんと小林さんと相羽建設で造園ワークショップを企画して参加者を募り、住まい手のご家族や地域の方々が多く庭づくりに参加してくださいました。
この時は伊礼さんとつながりの深いご家族が住み手となる家づくりで、伊礼さんが小林さんに、「みんなでワークショップ的に庭づくりをできないだろうか」と相談をしたことから造園ワークショップが実現。家づくりがこれからというご家族や既に木の家に暮らしている方、庭づくりに興味がある方など多彩に参加してくださり、楽しくも素晴らしい機会となりました!
小さくても豊かで居心地の良い住まいと暮らしをつくる建築家の伊礼智さん。
家と庭のバランスがとれた場づくりによって、住まいがより豊かな居場所となることをたくさんの事例を通して伝えてくださっています。
写真の「花小金井の家」では、山登りが大好きな施主のご夫妻の、お二人が通われた山にあるような植栽イメージで小林さんが造園を手掛けました。
「まちの風景として道行く人たちにも楽しんでいただけたら」という想いから、塀などは設けず通りに開いたお庭となっています。
庭はその地に住むご家族にとっても、その家の前を通りがかる人にとっても大切な風景。庭を丁寧につくり手をかけていくことで、日々の暮らしをより心豊かなものとしてくれるはずです。
3/22(日)小林賢二さんとつむじの樹木札をつくろうワークショップを開催します
東村山市の「つむじ」では定期的に小林賢二さんとの造園ワークショップを行っており、2020年3月22日(日)にも小林さんをお招きしてのワークショップを開催します。
造園家としての小林賢二さんのつむじ庭への想い、計画当時に木々の成長をどのように考えてこの庭がつくられ、今どんな風になっているか、小林さんならではの視点で庭づくりの魅力を直接聞ける貴重な機会です。
小林さんの庭トークをお聞きした後で、樹木マップを見ながら樹木札を樹々にとりつけていきます。
庭の植物の名前や特徴など、実際に見てふれながら体感するひととき。体を動かし五感を使って感じる中で、心と体をいやしてくれる植物の魅力を学んだり、自分の手を動かしてつくり育てていける庭づくりの秘訣を多くの方と共有する機会にもなればと思います。
庭づくりに関心がある方や、お子さんがいらっしゃるご家族など、ぜひ気軽にご参加ください!
小林賢二さんのお庭トークとつむじ樹木札をつけようワークショップ
日 時:2020年3月22日(日)10:00−12:00
会 場:つむじ
参加費:無料/定員:10組
イベントについて詳しくはこちらから
https://aibaeco.co.jp/event/event-1161/
KOBAYASHI KENJI ATELIER 小林賢二さん
1964 長野県上田市生まれ。1986 明治大学工学部建築学科(神代研究室)卒業。1989 桑沢デザイン研究所スペースデザイン科卒業。 剣持デザイン研究所、苑環境計画 勤務。1993 小林賢二アトリエ設立。
ランドスケープデザインや環境アート、彫刻、陶芸など、街や生活空間にさまざまな風景を生み出している。
https://kobayashi-atelier.com/
LINK
●AIBA 100People
『自然が好き。そんな自身の中にある本質に気づき、いまも大地に絵を描きつづけている造園家の小林賢二さん』
●小林さんが携わった庭づくり
「季節ごとの家時間を楽しむ暮らし」
「トトロの森を望む家」
記:新築住宅事業部 伊藤夕歩